子どもが大学受験する年齢になり私立大学の受験を調べていると、
「なにこれ???」
私が受験した頃にはなかった受験方式が私立大学には増えていて、何がなんだかよくわかりません。
確かにそうですね。
しかし、これは私たちが受験した頃と違って、私立大学への入り口が増えているので、子どもたちにとってはラッキーなことなんです。
今の私立大学受験の仕組みをここで説明します。
私立大学は同じ学部を何回も受験できる
私たち親世代が大学受験をしたのは、私立大学は受験のチャンスは1回だけという時代。
推薦入試を除けば、1校の1学部(学科)の受験ができるのは一度きり。例えば早稲田大学の政治経済学部の受験は、一度しかできませんでした。
一発勝負の時代でしたね。
しかし、最近はまったく違います。
1つの大学を受験するにも、1つの学部に対して複数の受験方式があって、日程さえ合えばその都度受験できるので、チャンスが広がっているといえます。
私立大学入試方式の例
例えば早稲田大学の政治経済学部では、次のとおり二度の受験機会があります。
- 一般入試
- センター利用入試
また首都圏の私立大学の中では2016年入試で最も受験生が多かった明治大学では、次のとおり三度の受験が可能です。
- 一般選抜入試
- 全学部統一入試
- センター利用入試
これは早稲田大学や明治大学に限ったことではなく、他の私立大学でも様々な受験方式があり、受験機会も多くなっているのです。
第一志望の大学が私立大学である場合、受験機会が増えていることはうれしいことですね。
では、それぞれの入試を細かく見ていきましょう。
一般入試(一般選抜入試)
一般入試は、昔からある入試と同じで、各大学の各各部が独自の入試を行い、合格者を決める方式です。
今でも最も一般的な入試で、受験者数も多いですし、定員の枠も多くなっています。
全学部統一入試(全額日程)
全学部統一入試とは、全学部の入試をまとめて一回の試験でやってしまう入試方式です。
全学部が同じ日に同じ入試問題を課し、受験生は出願した学部で要求される科目を受験します。
全学部統一入試のポイントは、一度に複数の学部学科に出願できること。
例えば、全学部統一入試では法学部と政治経済学部の両方に出願するといったことが可能です。
つまり、全学部統一入試を利用すれば、次のような受験戦略が可能になります。
- 一般入試を受験し、さらに別日程の全学部統一入試を受験して、同じ大学の同一学部を複数回の受験する
- 全学部統一入試で第一志望の学部とは別の学部を加えて受験して、第一志望の大学の受験機会を増やす
全学部統一入試は、一般入試の次に定員が多くなっています。
センター利用入試
センター利用入試は、センター試験を利用して合否を決定する入試方法です。
古く共通一次試験の時代は、私立大学が共通一次試験を入試に利用することはありませんでしたし、センター試験になってからも、私立大学で入試にセンター試験を利用するところはまれでした。
しかし、今では私立大学の入試方式として定着しています。
これは以前と比べて大きな違いですね。
私立大学のセンター利用入試は、
- センター試験の得点だけ
- センター試験の得点+大学独自の得点
で合否が決まる二つのパターンがあります。
センター利用入試はすべり止めで
私立大学のセンター利用入試の定員の枠は少なく、合格のボーダーラインは高めなので、狭き門となっています。
センター利用入試は、一般入試よりワンランク上のレベルと言われています。
そのため、一般入試で実力相応の大学にセンター利用で受験しても合格は難しいかもしれません。
したがって、一般的には、センター利用入試は「すべり止めの受験」として利用されています。
センター試験の得点だけで合否が決まる大学の場合、センター利用で出願して、あとはセンター試験を受験しておけば、合格発表を待つだけです。
センター利用入試では、受験する大学の過去問の勉強は不要ですし、受験で一日潰すこともないので、受験シーズンの貴重な時間を取られないですみます。
その分第一志望の大学の受験対策に専念できます。
受験料は一般入試の半額程度なので、すべり止めとして複数の大学に出願させても良いでしょう。
私立大学は日本各地で受験できる
これも私たち親世代との大きく違う点ですが、私立大学の一般入試は日本各地で受験できるようになっています。
以前は、受験する大学のキャンパスまで行かなければなりませんでした。遠方から受験に行くには、時間的経済的に大きな負担でした。
しかし、今は近くの一番便利なところで受験できるので、時間的経済的負担は以前より小さくなっています。
ただ、大学や学部ごとに日程や実施場所も違うのでよく確認する必要があります。
私立大学の推薦入試
私立大学の推薦入試は、大きく分けると指定校推薦とAO入試の2つがあります。
今や私立大学入学者の約半分が指定校推薦とAO入試での合格者となっているんです。
親の時代は、一般入試がメジャーな入試でしたよね?
指定校推薦入試
指定校推薦は、大学側が指定する高校の生徒のみが出願できる入試制度です。
指定校推薦は、併願は認められず原則として「専願」です。合格したら、入学するのが前提です。
第一志望の私立大学に指定校推薦で出願できるなら出願を検討すると良いでしょう。
しかし、大学によっては、「推薦の基準を充たした生徒だったら普通に一般入試でも合格できる」というところもあり、安易に受験を早く終わらせるために指定校推薦に逃げることはおすすめできません。
親としては、本当に子どもの第一志望の大学なのかを確認して出願させるかどうかを決めるほうが良いでしょう。
AO入試
AO入試というのは、公募制の自己推薦による入試制度です。これも原則として「専願」です。
大学が求める学生にあっているかどうかや、学習に対する意欲や関心を重視して選考をする入試のことをいいます。
そして選抜方法は大きく分けで面接重視型と論文重視型にわかれます。どちらの場合も、その大学に入る志望動機や入学後の目標などをまとめた志望理由が必要になってきます。
最近では、AO入試で入学した学生の方が成績が良いという報告もあり、AO入試の枠を広げる傾向にあるようです。
子どもに「この大学で、この勉強をしたい」という明確な目標がある場合、AO入試を検討すると良いでしょう。
まとめ
このように大学の入試システムというのは、私たち親世代と比べると劇的に変化しています。
そして大学によっても入試方法の仕組みも入試方法も異なるためにすべてを把握するのは困難なほどです。
親として子どもの受験校を決めるときは、入試方法をも一緒に理解しておきたいものです。
大学入試の方法はさまざまになり、試験の回数も多くなったのはメリットも多いですが、デメリットもあります。
そのひとつはむやみに試験をうけると、受験料かかなりかってしまうということ。もうひとつは、こちらの方が重要ですが、試験だけで日数を使ってしまって第一志望の大学の入試にむけての勉強の時間がなくなるということになりかねないこと。
とくに私立大学の試験というものは、センター試験が終わってから始まっていきます。
早稲田大学や慶応大学のような難関大学は入試の最後のほうになっていきますがそれまで、2カ月弱はどこかしらの大学の入試が行われています。
その中で子どもにあった大学をきちんと選択して試験に臨ませることが親として必要ではないでしょうか。