大学の授業料を軽くする制度は、国の「高等教育の修学支援新制度」だけではありません。大学も独自の授業料免除や特待生の制度、支払いを待ってもらう「徴収猶予」を用意しています。国の制度の対象外でも、大学独自の制度なら対象になる場合があります。
授業料免除は、一度決まれば卒業まで続くとは限りません。毎年や学期ごとに申請し、家計や成績で審査する制度が中心です。また、2020年度に国の修学支援新制度が始まってから、大学独自の免除の仕組みを見直した大学もあります。
大学独自の制度は対象や条件、申請の時期が大学ごとに違い、全国共通の基準はありません。調べる先は、志望校の公式サイトです。
大学の授業料免除にはどんな制度がある?
授業料の負担を軽くする制度を、実施しているところと仕組みで分けると次のようになります。
✏️授業料の負担を軽くする主な制度
| 制度 | 内容 | 実施しているところ |
|---|---|---|
| 国の修学支援新制度 | 所得などの条件を満たすと、授業料・入学金が上限額まで減免される | 国(手続きは大学とJASSO) |
| 大学独自の授業料免除・減免 | 家計や成績の基準を満たすと、授業料の全額または一部が免除される | 各大学 |
| 特待生・成績優秀者の減免 | 入試や在学中の成績が優秀な学生の授業料が減免される | 主に私立大学 |
| 授業料の徴収猶予・分納 | 授業料の支払い期限を延ばしたり、分割で払えるようにしたりする | 各大学 |
| 家計急変・災害のときの免除 | 保護者の失業や病気、災害などで家計が急に苦しくなったときに免除される | 国・各大学 |
入学料(入学金)の免除や徴収猶予を設けている大学もあります。
「免除」と「猶予」の違い
名前は似ていても、免除と猶予は中身が違います。
- 免除・減免:払う授業料そのものが減ったり、なくなったりする
- 徴収猶予・分納:払う期限が延びたり、分けて払えたりするだけで、授業料は最終的に全額払う
徴収猶予は、すぐにお金を用意できないときの一時的な助けです。猶予を受けても、授業料を払う必要はなくならないことを覚えておきましょう。
国の修学支援新制度と大学独自の減免の違い
国の修学支援新制度と大学独自の授業料免除は、どちらも授業料を減らす制度です。違うのは、基準を決めているところです。
| 国の修学支援新制度 | 大学独自の授業料免除 | |
|---|---|---|
| 基準を決めるところ | 国(全国共通) | 各大学 |
| 主な要件 | 住民税の情報をもとにした所得の区分のほか、資産、成績・学ぶ意欲、対象校であることなど | 大学ごとに違う |
| 免除される額 | 上限額まで(区分に応じて満額〜4分の1) | 全額または一部。大学の予算の範囲内で決まることが多い |
| 申請のしかた | JASSOの給付型奨学金とあわせて申し込み、減免は大学で手続き | 大学の募集要項に沿って大学に申請 |
国の制度は対象の条件も支援額も全国共通です。くわしい対象や年収の目安は次の記事にまとめました。
国の制度と大学独自の減免は一緒に使える?
文部科学省は、国の修学支援新制度による減免と、特待生や大学独自の授業料減免は、同時に利用できると説明しています。ただし、国の制度で減免されるのは、その学生に実際にかかる授業料です。特待生として入学時から授業料が減額されている場合は、減額後に残る授業料が国の減免の対象になります。たとえば授業料が全額免除の特待生なら、国の制度で減免される額は0円です。
大学独自の制度の対象を、国の制度の対象外の学生に絞っている大学もあります。実際の扱いは大学の案内で確認してください。
信州大学では、学部生の大学独自の授業料免除を申請できるのは、国の修学支援新制度の対象外の学生です。免除の額は、大学が定める基準を満たした学生に対し、予算の範囲内で全額または一部としています。
国の制度の対象外でも、大学独自の支援があるかもしれません。反対に、国の制度を受けていると申請できない大学独自の制度もあります。国の制度との関係は大学ごとに違うので、志望校の募集要項で確認しておきましょう。
大学独自の授業料免除・特待生制度を探す方法
大学独自の制度は、公式サイトのどこに載っているかが大学によってまちまちです。次の順番で探すと見つけやすくなります。
公式サイトで探す場所と検索する言葉
- 学生生活・学生支援のページ:「授業料免除」「経済支援」「奨学金」などのページに、国の制度と大学独自の制度がまとめて案内されていることが多い
- 入試・入学案内のページ:特待生制度や、入学前に申し込む給付型の制度は、入試の募集要項や入学案内に載っていることがある
- 合格者・新入生向けの入学手続きの案内:入学料の免除や徴収猶予の申請期限が書かれていることがある
サイト内検索なら、次の言葉で探してみてください。呼び方が大学ごとに違うので、いくつか試すと見つかりやすくなります。
- 授業料免除、授業料減免、学費減免
- 徴収猶予、延納、分納
- 特待生、成績優秀者、学費サポート
- 経済支援、家計急変
大学ごとの経済的な支援の状況は、大学改革支援・学位授与機構が運営する「大学ポートレート」でも調べられます。文部科学省も、大学選びの参考として案内しているサイトです。
国立・公立・私立で制度の形は違う
大学独自の支援の形は、国公立か私立かでも違います。
- 国立大学・公立大学:家計の基準と成績の基準をもとに授業料を免除する制度を設けている大学があり、信州大学のように前期・後期ごとに申請する例もある
- 私立大学:入試の成績による特待生制度や、大学独自の給付型奨学金、家計が苦しい学生向けの減免など、制度の組み合わせが大学ごとに違う
同じ国立大学でも基準や申請の時期は大学ごとに違うので、志望校が複数あるなら1校ずつ調べる必要があります。
授業料の徴収猶予・分納とは
徴収猶予は授業料を払う期限を延ばしてもらう制度、分納は授業料を何回かに分けて払える制度です。どちらも払う額は変わりません。
「延納」「分割納入」などと呼ぶ大学もあります。利用には申請が必要で、家計や成績の基準を設けている大学もあります。
徴収猶予が役に立つ場面
- 授業料の納付期限までに、どうしてもお金を用意できないとき
- 保護者の失業や病気、災害などで、家計が急に苦しくなったとき
- 授業料免除の結果が出るまで、支払いを待ってほしいとき
授業料免除を申請した学生は、結果が出るまで授業料の支払いを待ってもらえる大学もあります。逆に信州大学のように、大学独自の免除を申請した学生や国の修学支援新制度の対象者は、徴収猶予を申請できないとしている大学もあります。免除と猶予を両方申請できるかどうかは、大学の案内で確認しましょう。
家計が急に苦しくなった場合は、国の修学支援新制度にも「家計急変」の仕組みがあります。受け付けは1年を通してですが、申し込めるのは原則として急変の理由が起きてから3か月以内です。大学独自の免除にも、災害などを理由にした特別な扱いを設けている大学があります。困ったときは、まず大学の学生支援の窓口に相談してください。
申請する前に確認すること
大学独自の制度は申請の期間が短く、新入生は入学してすぐに申請することもあります。信州大学の2026年度の予定では、新入生の前期分の授業料免除の申請期間は4月20日から24日までの5日間で、結果が出るのは8月です。
入学前に確認しておきたい点は、次のとおりです。
✅大学独自の授業料免除で確認すること
- 新入生も申請できるか、何年生から申請できるか
- 家計の基準と成績の基準
- 免除される額(全額・半額など)と、予算の範囲内で決まるかどうか
- 申請の期間(前期・後期で別々に申請するか)
- 必要な書類(所得の証明書など)と、取りそろえるのにかかる日数
- 国の修学支援新制度と一緒に申請できるか
- 結果が出るまで、授業料の支払いを待ってもらえるか
- 次の年度も続けて受けるための条件
所得の証明書などは市区町村の窓口で取り寄せます。申請期間が短い大学もあるので、案内が出たら早めに準備を始めましょう。
大学の授業料免除に関するよくある質問
Q. 大学の授業料免除の対象になるのは、どんな人ですか?
制度によって違います。国の修学支援新制度は、住民税の情報をもとにした全国共通の基準で判定します。大学独自の授業料免除は、大学ごとに家計と成績の基準を決めていて、全国共通の基準はありません。志望校の募集要項で確認してください。
Q. 私立大学にも授業料免除の制度はありますか?
あります。私立大学では、入試の成績による特待生制度や、家計が苦しい学生向けの減免、大学独自の給付型奨学金などを用意している大学があります。内容は大学ごとに違い、学費や奨学金のページに載っています。
Q. 多子世帯なら、授業料は免除されますか?
国の修学支援新制度では、2025年度から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯は、所得にかかわらず授業料・入学金が上限額まで減免されます。ただし、資産や成績、対象校などのほかの要件はあり、子どもの数え方にも決まりがあります。対象になる条件や数え方は、高等教育の修学支援新制度の記事で詳しく説明しています。
Q. 一度免除されれば、卒業まで続きますか?
続くとは限りません。授業料免除の多くは、毎年や学期ごとに申請し、その時点の家計や成績で審査します。前の年に免除されていても、次の年は対象外になることがあります。
Q. 国の制度の対象外でした。ほかに方法はありますか?
大学独自の授業料免除や特待生制度、徴収猶予を確認してみてください。大学によっては、国の制度の対象外の学生向けに独自の免除を用意しています。給付型・貸与型の奨学金も含めて考えると、選択肢が広がります。
まとめ
大学の授業料を軽くする制度は、国の修学支援新制度だけではありません。
- 大学独自の授業料免除・減免、特待生制度、徴収猶予・分納などがある
- 免除は払う額が減る制度、徴収猶予は払う期限を延ばす制度
- 大学独自の制度は、基準も申請の時期も大学ごとに違う
- 国の制度と一緒に使える大学もあれば、国の制度の対象外の学生向けにしている大学もある
- 新入生は入学してすぐに申請期間が来ることがあるので、入学前から確認しておく
志望校が決まってきたら、公式サイトの学費や経済支援のページで、使える制度と申請の時期を確認しておきましょう。
授業料以外の支援や、支援を受ける前の学費の総額は、次の記事で確かめられます。
この記事で参照した公式情報
制度の内容や日程は年度ごとに変わることがあります。この記事は、2026年10月1日に次の公式情報を確認して作成しました。