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奨学金はいくら借りるのがベスト?不足額と卒業後の返還から考える

子どもが奨学金を借りたいと言っているの。月にいくら借りるのがいいのかしら?上限まで借りておけば安心?
受験生のお母さん
受験生のお母さん

奨学金をいくら借りるのがベストかは、家庭と進路によって違います。平均や上限ではなく、「学費と生活費のうち足りない額」と「卒業後に無理なく返せる額」の両方から決めるのが基本です。

お父さん
お父さん
わが家は奨学金を借りませんでした。この記事は日本学生支援機構(JASSO)の公式資料をもとに借りる額の決め方をまとめ、ところどころに親として考えたことも書いています。

ここではJASSOの貸与奨学金を考えている国内の大学の学部に進む人を対象に説明します。足りない額の計算のしかた、選べる月額と実際に口座に入る額、借りる総額と返還の考え方、在学中に額を見直す方法を順に紹介します。内容は2026年10月に公式サイトで確認したものです。

奨学金のベストな借入額は、家庭と進路で違う

「月いくら借りればいいか」に全員に共通する答えはありません。学費、住まい、親が出せる額、本人の将来の働き方によって、必要な額も返せる額も変わるからです。

上限や平均が、自分に合う額とは限らない

選べる上限の月額まで借りると在学中は余裕ができても、卒業後に返す額が大きくなります。ほかの人が借りている平均の額も、学費や住まいの条件が違えば参考になりません。まずは自分の家庭で、毎月いくら足りないのかを出すところから始めます。

給付型と授業料の減免を先に確かめる

日本の「奨学金」には給付型(返さなくてよい)と貸与型(卒業後に返す)があります。貸与型は借りたお金なので卒業後に返していく必要があります。借りる額を考える前に、返さなくてよい給付型奨学金や授業料の減免を受けられないかを先に確かめると、借りる額を減らせることがあります。

お父さん
お父さん
海外では、返さなくてよいものを奨学金(スカラーシップ)、返すものをスチューデントローンと呼び分けることが多いようです。日本はどちらも奨学金と呼ぶので、借金だという感覚が持ちにくいと思います。
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給付型・貸与型と授業料の減免の違いは、大学の奨学金・授業料支援には何がある?給付型・貸与型と減免制度で説明しています。

少なければよい、多ければ安心とも限らない

返すことを心配して少なく借りすぎるとアルバイトを増やさざるを得なくなり、勉強の時間が削られることがあります。反対に多めに借りて使い切ってしまうと卒業後の負担だけが大きくなります。足りない額に合わせて借り、在学中も必要に応じて見直すのが現実的です。

まず学費と生活費の足りない額を計算する

借りる額の出発点は1年間に出ていくお金から、確実に入るお金を引いた「足りない額」です。毎月の不足を出したうえで、借りる月額を決めます。

学費と生活費を分けて書き出す

学費は年に1〜2回、生活費は毎月出ていくので、分けて書き出すと支払いの時期が見えます。授業料の減免が決まっている場合は減免されたあとの学費で計算します。減免は「入ってくるお金」ではなく「払う学費が減る」ものとして扱います。

✏️1年間の不足額を出す表

項目 年額 書き方
学費(減免後) 授業料・施設設備費などを大学の納付額で
家賃・光熱費・通信費 親が直接払う分も含めて、ここに一度だけ書く
食費・日用品・交通費・教科書代など 本人が使う生活費
出ていくお金の合計(A)
親が出せる額(仕送り+直接払い) 二重に数えない
決まっている給付型奨学金 採用が決まった分だけ
本人の貯金から使う額 4年間で使う分を年ごとに割り振る
確実に入るお金の合計(B)
1年間の不足額(A−B) 12で割ると毎月の不足の目安
各家庭の金額を書き込んで使います

親が直接払う分を、仕送りと二重に数えない

家賃を親が大家さんに直接払い、さらに仕送りも送っている家庭では、仕送りの中から家賃を払っているのか、仕送りとは別に家賃を払っているのかを確かめます。仕送りに家賃分が含まれているのに、その家賃を直接払いとしてもう一度足すと、親の援助を二重に数えてしまいます。親の援助の合計と、支出の各欄に、それぞれ一度だけ書くようにします。

決まっていない給付やアルバイト代は、収入に入れない

まだ採用が決まっていない給付型奨学金や見込みのアルバイト代を収入に入れると、不足額が小さく見えます。授業や実験が忙しい時期にはアルバイトを減らすこともあります。アルバイト代は確実に見込める分だけにするか、入れずに計算しておくと、足りなくなったときに慌てずにすみます。

また、奨学金は入学後に振り込まれるので、入学金や引っ越しの費用など入学前の支払いには使えません。入学前のお金は別に用意します。

選べる月額と、口座に入る金額を確かめる

毎月の不足額がわかったらJASSOの貸与奨学金で選べる月額の中から、不足に近い額を選びます。そのうえで保証料などを差し引いて実際に口座に入る額も確かめます。

第一種は区分ごとの月額から、第二種は1万円刻みで選ぶ

第一種奨学金(無利子)は国公立か私立か、自宅から通うか自宅外かによって、選べる月額が決まっています。大学の場合の月額は次のとおりです。

✏️第一種奨学金の貸与月額(大学・平成30年度以降入学者)

区分 自宅から通う 自宅外から通う
国公立 2万円・3万円・4.5万円 2万円・3万円・4万円・5.1万円
私立 2万円・3万円・4万円・5.4万円 2万円・3万円・4万円・5万円・6.4万円
出典:JASSO「平成30年度以降入学者の貸与月額」(2026年10月確認)。自宅外通学の人は自宅通学の月額も選べます。申込時の家計収入が一定額以上の場合は、各区分の最高月額以外から選びます

第二種奨学金(利子つき)は大学なら月2万円から12万円まで1万円刻みで選べます。私立大学の医・歯学の課程は12万円を選んだ場合に4万円、薬・獣医学の課程は2万円を上乗せできます。第一種と第二種を一緒に借りる併用もありますが、利用できるかどうかは採用の結果によります。

給付型と一緒に受けると、第一種の額が変わる

給付型奨学金と第一種奨学金を一緒に受ける場合は、給付型の支援区分などに応じて第一種の月額が調整されます。これを併給調整といい、JASSOは多くの場合は減額になり、0円になる場合もあると案内しています。給付型の対象になりそうな人は調整後の月額で足りるかを計算し直します。

機関保証の保証料を引いた額で、家計を組む

貸与奨学金では保証人を立てる「人的保証」か、保証機関に保証してもらう「機関保証」を選びます。機関保証を選ぶと保証料が毎月の奨学金から差し引かれて振り込まれます。保証料の月額は貸与月額や貸与期間、返還期間などをもとに決まり、採用されたときの奨学生証で知らされます。

たとえば月5万円を借りても口座に入るのは保証料を引いた額です。毎月の家計は借りた額ではなく実際に入る額で組みます。保証料を払っていても返還が不要になるわけではなく返すのは借りた本人です。

月額だけでなく、貸与総額と返還を比べる

月額の差は小さく見えても4年間借りると総額は大きく変わります。月額を決める前に、借りる総額と卒業後に毎月返す額を確かめておきます。

借りる期間をそろえて、総額を比べる

同じ月額を4年間(48か月)借りた場合の、借りる元本は次のようになります。

📄
  • 月3万円×48か月=144万円
  • 月5万円×48か月=240万円
  • 月8万円×48か月=384万円

(月額と期間のかけ算を示すための例です。おすすめの額や平均ではありません。保証料・利息・月額の変更は入れていません)

第二種奨学金は利子がつくので返す総額は借りた元本より多くなります。6年制の学部や大学院まで借りる場合は期間を延ばして計算し直します。

利率・返還方式と、返還が始まる時期を確かめる

第二種奨学金の利子は在学中はかからず、貸与が終わったあとにかかります。上限は年3.0%です。実際に適用される利率は貸与が終わった月に決まり、申し込んだときの利率ではありません。入学前に使うシミュレーションは、仮の利率で計算した試算です。利率の算定方法には返還が終わるまで同じ利率の「固定方式」と、おおむね5年ごとに利率が見直される「見直し方式」があり、申し込むときに選びます。返還のしかたにも、毎月同じ額を返す「定額返還方式」と、収入に応じて返す額が変わる「所得連動返還方式」(第一種のみ。選ぶと保証は機関保証になり、減額返還の制度は使えません)があります。

返還は原則として貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目に始まります。3月に卒業して貸与が終わった人なら、その年の10月からです。毎月いくら返すことになるかはJASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、借りる条件を入れて確かめます。

卒業後の生活費から、返せる額を考える

返還は就職して家賃や生活費を払いながら続けることになります。初任給の手取りから家賃と生活費を引いて、毎月いくらなら無理なく返せるかを本人と話しておきます。将来の収入は保証されないので少なめに見積もっておくほうが安心です。

お父さん
お父さん
デフレの時代に借りた人は返済の負担が重かったと思います。物価や給料が上がる時代なら、借りることの重さは少し違うのかもしれない、と思うこともあります。

物価と一緒に給料も上がれば毎月決まった額を返す負担は、実質的には軽くなる可能性があります。ただし給料が上がる保証はありません。第二種で見直し方式を選んだ場合は利率が上がって返す額が増えることもあります。物価が上がれば生活費も増えるので、給料が上がっても返還に回せるお金が増えるとは限りません。将来の物価を当てにして多めに借りるのではなく、足りない額に合わせて借りるのが基本です。

返還が遅れると、督促や信用情報への登録がある

お父さん
お父さん
知人から、奨学金の返済に困った人の話を聞いたことがあります。返済が遅れたあとの督促は、かなり厳しいものだったそうです。

JASSOの案内では返還が遅れると本人や保証人に文書や電話で督促があり、延滞金も加わります。延滞が3か月以上になると個人信用情報機関への登録の対象になり(返還を始めたばかりの人は、返還開始から6か月たった時点で3か月以上延滞している場合から対象)、クレジットカードやローンの利用に影響が出ることがあります。延滞が続くと残りの全額の一括請求や、法的な手続きに進むこともあります。

返すのが難しくなったときのために、毎月の返還額を減らす「減額返還」や、返還を待ってもらう「返還期限猶予」の制度があります。どちらも申請と審査が必要で、免除されるわけではありません。困ったときは延滞する前に手続きをするよう案内されています。

私立・理系・一人暮らしは、費目を変えて計算し直す

「私立だからいくら」「理系だからいくら」と決めるのではなく、進学先の学部の実際の費用で不足額を計算し直します。同じ私立や理系でも学部や住まいによって必要な額は大きく違います。

学部の納付額と、実験・実習の費用を確かめる

授業料や施設設備費は大学だけでなく学部によっても違います。理系の学部では実験や実習の費用が別にかかることがあります。進学先の学費は大学の公式サイトにある学部ごとの納付額で確かめます。医学部や薬学部など6年制の学部では、借りる期間も6年で考えます。

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国公立・私立、文系・理系の学費の違いは、大学の学費は4年間でいくら?国公立・私立、文系・理系で比較で説明しています。

一人暮らしなら、家賃と初期費用で大きく変わる

自宅から通うか一人暮らしかで生活費は大きく変わります。一人暮らしでは家賃が毎月の支出の大きな割合を占めるので、住む地域や部屋の条件で不足額が変わります。部屋を借りるときの初期費用は入学前に必要で奨学金ではまかなえません。

アルバイトを増やして埋める前提にしない

足りない分をアルバイトで埋める計画は授業や実験が忙しい学部では続かないことがあります。理系では学年が上がるほど研究室の時間が長くなることもあります。

お父さん
お父さん
わが家の下の子は理系で、大学院に進んでからは研究が忙しく、アルバイトはしていませんでした。

アルバイト代を多く見込むより、親が出せる額と借りる額で不足を埋められるかを先に確かめます。親が出せる額も、親の家計や老後の資金とあわせて無理のない範囲で考えます。

在学中に必要な額が変わったら、早めに月額の変更を相談する

入学前に決めた月額は在学中に変えることもできます。借りすぎている、足りないと気づいたら、早めに手続きを確かめます。変更が振込みに反映されるまでには時間がかかります。

借りすぎ・不足に気づいたら見直す

JASSOは貸与奨学金は卒業後に返す義務があるので、家庭の状況や卒業後の生活設計を考えて月額を選ぶよう案内しています。使わずに貯まっていくようなら減らし、足りなくて勉強に支障が出るようなら増やすことを考えます。自宅外から自宅通学に変わった場合も学校に申し出る必要があります。

手続きの窓口は、変更の内容で違う

第二種奨学金を減らす場合は本人がインターネット(スカラネット・パーソナル)から申し込めます。第一種奨学金の増額・減額と第二種奨学金の増額は、学校の奨学金窓口で「貸与月額変更願(届)」を受け取って申し込みます。増額には審査があり、人的保証の人は連帯保証人と保証人の書類も必要です。

JASSOは審査や変更の反映に2〜3か月程度かかるとしており、年度ごとの申請期限もあります。思い立ってすぐに翌月の振込みが変わるわけではないので余裕をもって申し込みます。

借りる額を減らすことと、卒業後の「減額返還」は別

在学中に借りる月額を減らす手続きと、卒業後に毎月の返還額を減らす「減額返還」は別の制度です。JASSOも、スカラネット・パーソナルから申し込むときに、この2つを間違えないよう注意しています。在学中に借りる額を減らせば卒業後に返す総額が減ります。

親子で最後に確かめる項目

月額を決める前に、次の項目を親子で一緒に確かめます。借りるのも返すのも本人なので本人が納得して決めることが大切です。

✅借りる月額を決める前のチェック

  • 給付型奨学金や授業料の減免を受けられないか確かめた
  • 減免後の学費と、1年間の生活費を書き出した
  • 親が出せる額と、決まっている給付だけを収入に入れた
  • 1年間と毎月の不足額を出した
  • 保証料を引いた、実際に口座に入る額を確かめた
  • 4年間(6年間)で借りる総額を計算した
  • 返還シミュレーションで、卒業後に毎月返す額を確かめた
  • 入学前に必要なお金は、奨学金とは別に用意した
  • 在学中に額を見直す時期を決めた

奨学金の借入額に関するよくある質問

Q. 上限まで借りておいたほうが安心ですか?

在学中の余裕はできますが借りた分はすべて卒業後に返します。第二種奨学金は利子もかかります。足りない額に合わせて借り、在学中に足りなくなったら増額を相談するほうが、返す総額を抑えられます。

Q. みんな平均でいくら借りていますか?

平均の額は学費や住まいの条件が違う人をまとめた数字なので、自分に必要な額の目安にはなりません。自分の家庭の不足額を計算して決めます。

Q. 借りた奨学金が返せなくなったらどうなりますか?

返還が遅れると督促や延滞金があり、延滞が3か月以上になると個人信用情報機関への登録の対象になります(返還を始めたばかりの人は、返還開始から6か月たった時点から判定)。返すのが難しくなりそうなときは延滞する前に減額返還や返還期限猶予をJASSOに申し込めます。どちらも審査があり、返還が免除されるわけではありません。

まとめ

奨学金をいくら借りるのがベストかは、家庭と進路によって違います。まず給付型奨学金や授業料の減免を確かめ、減免後の学費と生活費から、親が出せる額と確実に入るお金を引いて不足額を出します。その不足額に近い月額を選び、保証料を引いた実際の振込額で家計を組みます。

月額を決めるときは4年間の総額と卒業後に毎月返す額も、JASSOのシミュレーションで確かめておきます。在学中に必要な額が変わったら早めに月額の変更を相談します。借りるのも返すのも本人なので親子で一緒に考えて決めることが大切です。

この記事で参照した公式情報

2026年10月25日に、次の情報を確認して作成しました。

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