仕送りをいつまで続けるかに決まった答えはありません。卒業月で一律に区切らず、本人の給料が入る日と、それまでに残っている支払い、親の家計を見て決めると、親子のどちらも困りにくくなります。
もう一つ気をつけたいのが現金の仕送りとは別に親が払っている家賃やスマホ代です。仕送りを止めてもこうした支払いが親の口座から引き落とされ続けることがあります。
ここでは仕送りの区切り方の考え方と、卒業から初任給までの支払いの並べ方、家賃・スマホ・自動送金を本人に引き継ぐときの確認点を順に説明します。
仕送りの区切りは「卒業・入社・初任給」を分けて考える
卒業する日、会社に入る日、初めて給料が入る日は同じではありません。どの日を区切りにするかで親が最後に負担するお金が変わります。
卒業月で終える場合
3月で仕送りを終えるのは区切りとしてわかりやすい方法です。ただし4月に入社しても4月中に給料が入るとは限りません。本人の手元のお金で4月の家賃や生活費、通勤の準備にかかるお金をまかなえるかを先に確かめておきます。
アルバイトで貯めたお金がある、入社前に引っ越しを済ませて家賃が下がるなど、本人の事情によっては3月で終えても困らないこともあります。
初任給までの足りない分を支援する場合
給料の締め日と支払日は会社によって違います。月末締めで当月25日に払う会社もあれば、翌月に払う会社もあります。初任給(就職して初めて受け取る給料)がいつ、どのくらい入るかは、本人が労働条件の通知や勤務先の案内で確かめます。
初任給の日がわかればそれまでに足りなくなる金額がわかります。毎月の仕送りをそのまま続けるか、足りない分だけを渡すかは、親が出せる金額と合わせて決めます。
現金の仕送りと、親が直接払っている分は別々に終える
家賃やスマホ代を親が直接払っている家庭では現金の仕送りを止めた日とこうした支払いが本人に移る日がずれやすくなります。仕送りは3月まで、家賃は初任給の月から本人払い、というように費目ごとに「親が払う最後の月」を決めておくと、払い忘れや二重払いを防げます。
最後の仕送りの前に、親が直接払っている費用を洗い出す
仕送りを終える時期を決める前に、親の口座やカードから払っている子どもの費用を一覧にします。現金の仕送りがゼロになってもこうした支払いが残っていれば親の負担は続きます。
契約者・支払者・使っている人を分けて書き出す
家賃、スマホ、インターネット回線、電気・ガス・水道、サブスク、保険などを通帳やカードの明細を見て一つずつ拾います。費目ごとに「契約しているのはだれか」「お金を払っているのはだれか」「使っているのはだれか」を分けて書いておくとあとで何の手続きが必要かがわかります。
たとえば子ども名義の部屋の家賃を親が送金しているなら変えるのは支払う人だけです。親名義のスマホを子どもが使っているなら支払う人と契約の名義の両方が関わります。同じ「親が払っている」でも引き継ぐときの手続きは違います。
なお子どもが支払いを自分で管理するようになったら親が子どものネットバンキングのログイン情報やカードの番号を預かったままにしないほうが安全です。
在学中の仕送りと親の直接払いの分け方は、大学生の一人暮らしの生活費と仕送りの平均は?家賃込み・家賃抜きで考えるで説明しています。
税金や健康保険の扶養は、仕送りとは別に確かめる
仕送りを止めたからといって親の税金の扶養控除や健康保険の扶養がそれに合わせて自動で変わるわけではありません。反対に仕送りを続けていても子どもが就職して収入を得るようになれば扶養から外れる手続きが必要になることがあります。
扶養の手続きは、親の勤務先や加入している健康保険の窓口で確かめます。
卒業から初任給までの支払いを日付順に並べる
初任給までにいくら足りないかはその日までに期限が来る支払いを日付順に並べるとはっきりします。毎月の平均額で考えるより、実際の請求日で見たほうがずれが出ません。
家賃は「何月分を、いつ払うか」を確かめる
家賃は前の月のうちに翌月分を払う契約もあり、3月末に払うのが4月分ということがあります。契約書で何月分の家賃をいつまでに払うのかを確かめます。親の自動送金で払っているなら最後に親が払うのは何月分かも決めておきます。
引っ越し・新生活・通勤の準備にかかるお金を拾う
就職で引っ越すなら引っ越し代や新しい部屋の初期費用がかかります。スーツや仕事用のかばん、通勤定期を本人が先に立て替えることもあります。会社によっては引っ越し代や通勤費をあとで精算してくれる場合があるので、何が対象で、いつ戻ってくるのかを本人が勤務先に確かめます。
足りない金額は、使えるお金を差し引いて出す
必要な金額は初任給の日までに払う支払いの合計から、本人がその時点で使えるお金を差し引いて考えます。
初任給までに足りない金額=初任給の日までに払う支払いの合計−本人がその時点で使えるお金
例:初任給までの支払いが25万円、本人の預金が15万円なら、25万円−15万円=10万円(計算のしかたを示すための仮の数字です)
あとで戻ってくる予定のお金はまだ使えるお金に数えません。退去したときの敷金の返金や会社からの引っ越し代の精算は、入る日がわかってから計算に入れます。本人のお金は、支払いの合計に入れていない別の用途に取っておいた分を除いて数えます。同じ支払いを、支払いの合計と預金の両方から二重に差し引かないようにします。計算した結果が0以下なら、この期間の支払いに足りない金額はありません。
引っ越し・退去の費用は、毎月の仕送りと分けて考える
就職で部屋を出るときの費用は、毎月の仕送りとは性質が違う一度きりの出費です。仕送りを続けるかどうかとは別にだれがどこまで出すかを決めておくと、あとから負担の認識がずれにくくなります。
退去する場合は、解約の連絡と最後の家賃を確かめる
部屋を出るときは、賃貸契約書で解約の連絡をいつまでに、どの方法でするかを確かめます。解約を申し出てから契約が終わるまでの期間や、最後の月の家賃を日割りにするかどうかは契約によって違います。連絡が遅れると住んでいない期間の家賃を払うことになりかねません。
退去のときは管理会社などと部屋の状態を確かめる立ち会いがあることが多く、修繕費などを敷金から差し引いて精算します。国民生活センターは、入居時と退去時に部屋の状態を写真などで記録しておくことや、契約書の特約を確かめることをすすめています。精算の結果が出るのは退去の後なので、敷金の返金や追加の請求は引っ越し後の家計で受け止めることになります。
引っ越し業者の見積もりや荷物の送り方は、進学のときの段取りをまとめた大学生の引っ越しでやること|親子で進める入居前後の段取りも参考になります。
同じ部屋に住み続ける場合は、名義と支払い方法を確かめる
就職後も同じ部屋に住むなら引っ越しの費用はかかりません。確かめたいのは契約の名義と家賃の払い方です。子ども名義の契約なら支払う人が親から本人に替わるだけで済むこともあります。親名義の契約や、学生向けの条件で借りている部屋は、名義の変更や契約の見直しが必要になることがあるので、管理会社や大家さんに問い合わせます。
会社の住宅手当や家賃補助がある場合は、申請の方法や支給が始まる月を本人が勤務先で確かめます。補助が出る前の月の家賃をだれが払うかも決めておきます。
家賃・スマホ・自動送金を費目ごとに本人へ引き継ぐ
親の支払いを終えるときは、止める手続きをしたあと、次の明細で親の請求が止まり、本人の支払いが始まったところまで確かめます。手続きを申し込んだだけでは、反映されるまでに1回分の請求が残ることがあります。
家賃の自動送金は、最後の送金月を決めてから止める
銀行の定額自動振込は申し込んだときに決めた送金期間が終わるまで、止める手続きをしなければ卒業後も毎月送られます。最後に親が払うのは何月分の家賃かを決め、その送金が終わったあとに設定を解除します。解除の締め切りは銀行によって違い、送金日の直前だとその月の分は止められないこともあるので、余裕を持って手続きします。
本人が家賃を払い始めるときは、本人の口座からの振込や口座振替に切り替わったかを最初の月に確かめておくと安心です。
自動送金の設定や止めるときの注意は、家賃・仕送りを無料で自動送金する方法|条件と設定時の注意点で説明しています。
スマホは、支払う人の変更と名義の変更を分けて考える
スマホ代を親がまとめて払っている場合は引き継ぎ方は契約の形で変わります。子ども名義の契約なら支払いを本人の口座やカードに変える手続きで済むことがあります。親名義の契約や家族割のプランに入っている場合は、名義の変更や、家族のまとまりから外す手続きが必要になることがあります。
親払いをやめるために解約したり電話番号を変えたりする必要があるとは限りません。名義の変更や支払い方法の変更でできることも多いので、手続きの方法と反映される月を通信会社で確かめます。家族割が外れると親の側の料金が上がることもあるので、家族全体の合計も見ておきます。
サブスク・回線は、続けるかやめるかを先に決める
動画や音楽の配信サービス、インターネット回線、保険などは、本人が引き継いで続けるか、やめるかを先に決めます。続けるなら支払い方法を本人に切り替え、やめるなら事業者が決めた方法で解約します。国民生活センターは、アプリを削除しただけではサブスクの解約にならないと注意を呼びかけています。
解約したら翌月以降の明細で請求が止まったかを確かめます。回線の機器を返す必要があるものは、返却まで済ませます。
親子の契約を一覧にして見直す方法は、毎月の固定費を節約するには?大学生を支える親の見直しチェックリストで説明しています。
大学院進学や就職未定なら、期間と見直し日を決める
学部を卒業してもすぐに給料が入るとは限りません。大学院に進む、就職先が決まっていない、留年するといった場合は、援助する費目と上限、次に見直す時期を決めておくと、親子のどちらにも見通しが立ちます。
大学院に進む場合は、修了までの援助を決める
修士課程に進む場合は、標準でさらに2年間の学費と生活費を見込みます。学部のときと同じように援助するのか、学費だけ出すのか、奨学金やアルバイトでどこまで本人がまかなうのかを、進学を決める前に話しておきます。
大学院の2年間の費用と援助の考え方は、大学院進学の費用と親の援助|修士課程まで支えるにはでまとめています。
就職が決まっていない場合は、見直す日を決めておく
卒業の時点で就職先が決まっていない場合は、援助をすぐに打ち切るのも、期限を決めずに続けるのも、親子のどちらかに無理がかかりやすくなります。家賃だけ出す、生活費の一部だけ出すなど費目と金額を決め、「3か月後にもう一度話す」のように見直す時期を決めておくと、状況が変わったときに話しやすくなります。
体調や家庭の事情で働き始めるのが遅れる場合もあります。本人を責めるのではなく、大学のキャリアセンターや相談窓口など、使える支援があるかを一緒に調べます。
貸与型の奨学金がある場合は、返還の始まる月を確かめる
貸与型の奨学金を借りていた場合は卒業後に本人が返していきます。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、月々返す月賦返還なら貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目に返還が始まります。たとえば3月に貸与が終わった人はその年の10月からです(半年ごとに返す分を併用している場合、その分は翌年1月から)。大学院に進む場合は在学猶予を願い出て承認されると在学中の返還が先送りされ、返還は原則として在学猶予が終わった月の翌月から数えて7か月目に始まります。
返還の月額や回数は、本人に届く返還の案内で確かめます。初任給のあとの家計を考えるときはこの返還も支払いの一つとして入れておきます。収入が少なく返すのが難しいときは、返還を待ってもらう返還期限猶予や、毎月の返還額を減らす減額返還の制度もありますが、どちらも申請と審査が必要です。
給付型と貸与型の違いは、大学の奨学金・授業料支援には何がある?給付型・貸与型と減免制度で説明しています。
支払い引き継ぎ表で、親子で最後の負担を確かめる
ここまでの確認は、費目ごとの表にまとめて親子で同じものを見ると漏れが減ります。卒業前に一度作り、初任給の日や退去の日がわかったら書き直し、最後の請求と本人の初回の支払いを確かめたら完了です。
✏️支払い引き継ぎ表の例
| 費目 | 今の契約者・支払者 | 親が払う最後の分 | 本人が払い始める分 | 確認先 |
|---|---|---|---|---|
| 現金の仕送り | 送金している人・方法 | 最後の送金日 | 本人の収入でまかなう月 | 銀行(自動送金の設定) |
| 家賃 | 契約の名義・払っている人 | 何月分まで | 何月分から | 管理会社・大家さん |
| スマホ | 契約の名義・使っている人・支払い方法 | 最後の請求の対象月 | 変更が反映される請求 | 通信会社 |
| インターネット回線 | 契約者・請求先 | 続けるか解約か | 続ける場合の初回の請求 | 回線会社 |
| 電気・ガス・水道 | 契約者・引き落とし口座 | 退去する部屋の最後の精算 | 新しい部屋・続ける分 | 各事業者 |
| サブスク・保険 | 契約アカウント・支払い方法 | 次の更新前に解約か継続か | 引き継いだあとの請求 | 各サービス・保険会社 |
| 引っ越し・退去費 | 見積もり・契約で確認 | 援助する金額 | 本人が出す範囲 | 管理会社・引っ越し会社 |
| 新生活・通勤の準備 | 見積もり・会社の案内 | 援助か立て替えか | 精算後の負担 | 勤務先 |
| 貸与型の奨学金 | 本人の返還予定 | (援助するかは別に決める) | 返還の始まる月と金額 | JASSO・本人に届く案内 |
表に書くのは各家庭の契約と日付です。在学中の平均的な生活費をそのまま卒業後に必要な額として書き写さないようにします。
仕送りの終わりに関するよくある質問
Q. 初任給まで仕送りを続ける必要はありますか?
決まりはありません。初任給の日までの支払いを本人の手元のお金でまかなえるなら、卒業月で終えても困りません。足りない場合に足りない分だけを援助する方法もあります。わが家は初任給までを区切りにしました。
Q. 仕送りを止めても、スマホ代だけ払い続けてもいいですか?
親子で決めたことなら問題ありません。ただ、親払いが残っていることを忘れやすいので、いつまで払うかを決めておきます。親名義の契約は本人の名義に変える時期も一緒に考えておくとあとで手続きが楽になります。
Q. 就職したあとも援助するのはおかしいですか?
おかしいとは言えません。引っ越しの費用など一度きりの出費を援助する家庭もあれば、就職と同時にすべて終える家庭もあります。親の家計に無理がない範囲で、何をいつまで援助するのかを決めておけば、親子のどちらも見通しを持てます。
まとめ
仕送りをいつまで続けるかは、卒業・入社・初任給の日を分けて本人の収入が始まるまでの支払いと親の家計を見て決めます。現金の仕送りとは別に、家賃やスマホ代などの親払いは費目ごとに最後の月を決め、次の明細で請求が止まったことまで確かめます。
わが家は2人とも初任給までを区切りにし話し合って決めたというより、就職とともに自然に終わりました。家賃の自動送金は最後の月を確かめて止め、スマホは卒業したら本人に移すように伝えました。家庭によって事情は違うので、引き継ぎ表を親子で見ながら最後の負担を確かめてください。
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